身近に冒険遊び場を作ろう(5)

活動資金をどう捻出するか

魅力ある遊びを可能にするには相応の資金が必要

前項の冒険遊び場づくりやプレーパークで説明したように、子どもたちの多様なニーズに応える遊びを展開するには、かなりの資金が必要です。その資金をどうして集めるか、活動の基本的な問題の一つです。
まず、その資金をどうやって集めればよいか、方法としては、自力(会費など)、他力(寄付など)から、事業(リサイクル活動など)、補助金(行政や助成財団など)等々、いろいろあります。
このなかから、一つだけで集まる資金というものは、まずないでしょう。可能な資金の集め方を実際に実行していくなかから、遊び場の条件を徐々に整備していくことになるでしょう。

会費が活動を始める上での基本

活動資金を考える場合、まず一番の基本は、会員が出し合う「会費」です。会費を納めることによって、会員は活動に参加しているという自覚を持つことができます。また、会費の使い方と密接な関わりのある活動のあり方や展開のしかたについて、真剣に考えるでしょう。
会費の額については、まず、会員が活動を展開していくことを可能にする範囲の資金でいいでしょう。冒険遊び場の整備費まで考えたら、とても会費くらいではおさまらないからです。会員が会として行動する活動費で、そうした資金は「会費」を基本に、動き出すのです。

帽子カンパなども上手に使う

活動を仲間内に知らせる通信費やPR費など、会費だけでは思うように活動できなくなります。だからといって、その度に会費を上げたりすることは不可能です。そこでアイデアなどの知恵を絞ります。
簡単な方法としては、会合や説明会などで居合せた人々を対象に、「帽子カンパ」などを試みてはいかがでしょう。カンパはいくらと決めるのではなく、参加者の出せる金額でかまいません。意外に多いと思うか、少なかったか、試してのお楽しみ。カンパを通して、会員でなかった人々をも仲間に誘い込むきっかけにもなるでしょう。
この帽子カンパは、なにも帽子でなくてもかまいません。その場で都合のつく袋でも箱でも何でもいいのです。しかし、適当な入れ物がない場合でも、どなたかかぶっている帽子をちょっと拝借して、カンパに使える、という気軽さの象徴として「帽子カンパ」と名づけたわけです。
ところで、カンパが回り終えたら、会の責任者か会員の誰かが、集めたた金額を報告し、お礼とともに、どのようなことに使いたい、といった説明をしておくことが大事です。

家庭の不要品を生かしてバザーなどを開く

御中元やお歳暮で送られた贈り物とか、結婚式の引き出物などで、使われずに家の中に死蔵されている品物が、けっこうどこの家庭でもあるものです。そうした不要品を提供してもらい、バザーやガレージセールに出したらいかがでしょう。よく売れる品物は、缶詰や石鹸、鍋、皿、茶碗といった日常家庭でよく使われる物品です。
また、いらなくなった衣類、中でも子どものものは、真新しいままにすぐ小さくなって、着たり履いたり被ったり出来なくなります。もちろん大人のものも含めて、不要となったものを提供してもらいます。
それにカメラやステレオ、テレビなどの電化製品等々、不要となってもまだ使えそうなものは頂いて、バザーやガレージセールを開くのです。
そのさい、注意することは、収益ドロボーにやられることです。手伝うようなふりをして、売上金をゴッソリ持ち去られた、というような被害がよくあるそうですから、注意が肝心です。たくさんの人が訪れ、手伝いの人も多く、顔も見知らぬ間柄の人々が協力してやることが多いので、その間隙をつかれるのです。せっかくの努力が台無しですから、やられるとダメージが大きいのです。くれぐれも注意しましょう。

企業に協賛金・助成財団などの補助を受ける

地元の企業で、協賛金をもらえそうなところには、お願いしてみてはどうでしょう。青少年教育や健全な成長発達という趣旨には賛同してくれる企業もあると思います。
また、民間の助成財団に当たってみるのも一つの方法です。いろいろの分野で助成をしていますから、調べてみる必要があります。この助成財団には、冒険遊び場であれば、それに必要な整備費などの最も活動の核心となる部分を中心において助成を申請するのがいいでしょう。
そうした助成財団をインターネット上で紹介しているのは、「財団法人・助成財団センター(JFC)」(東京都新宿区新宿1−26−9。TEL・03−3350−1857。FAX03−3350−1858)です。そこでは、たとえば「トヨタ財団」や「日本生命財団」「日本財団」「まちづくり市民財団」「安田生命社会事業団」「平和島財団」「ハウジングアンドコミュニティ財団」「伊藤忠記念財団」……等々が掲載されていますから、アタックしてみるといいと思います。
ただし、沢山の申請の中から選び出して助成対象を決めるものですから、競争も激しくパスするのは容易ではありません。けれど、自分たちの活動の意味や意義を社会的に訴えていく力や知恵を試すチャンスですから、挑戦してみるのもいい勉強になるでしょう。

行政に補助を申請する

市町村行政に補助制度があるかどうかを調べて、該当しそうな補助制度があれば、申請してみてはいかがでしょう。しかし、近年は、地方自治体も財政難でたいへんらしいですから、多くは期待できないかもしれません。しかし、これまでの公園整備などに必要な予算はあるでしょうから、その中の一部をまわしてもらうような交渉のしかたもあると思います。
その場合、やはり冒険遊び場やプレーパークの趣旨とか意義はもとより、子どもたちや地域住民の支持があるかないかなどが重要な決め手になりますから、ニーズに沿った活動の盛り上げが欠かせません。