都市計画など地域開発の見直しが必要

「列島改造」以来の効率や経済性重視の開発

人が住み憩い交わり支え合うの発想は希薄

かつて、田中角栄首相の時代に、日本列島改造計画をスローガンに、全国的な開発ブームが起きました。鉄道や道路を始めとする交通、通信網の整備、大規模な都市計画などの地域開発が進められました。
こうして全国的に都市化が一挙に進み、大規模な新興住宅地や団地が造成され、市街地なども見違えるように整備されてきました。道路なども、日本全国どこへ行っても、驚くほど整備されて、交通・通信の発達は、本当に目を見張るものがあります。そして、この流れは、今日にも根強く受け継がれているように思います。
しかし、人々が憩い、散策し、子どもらが自由に遊び回れるような公園や広場などのオープンスペースは真に少なく、あっても申し訳程度と言うのが実情ではないでしょうか。
そして、近隣の自然環境は、開発の名のもとに、どんどん失われてきました。このような開発の現状は、あまりにも経済性や効率面だけを第一義においてきたからだと思います。

大人の遊び場ゴルフ場造成は惜しげもなく

その証拠に、大人を対象とした儲ける遊び場としてのゴルフ場などは、広い空間を惜しげもなく確保して、全国的に造成ラッシュを続けてきました。このゴルフ場などは、プレイするスポーツを離れて、ゴルフをしない人にまで会員権が高値で売買されるという蓄財として幅を利かせ、バブル時代の乱開発に一層拍車をかけました。
しかし、バブルがはじけると同時に、ゴルフ場の会員権は二束三文になり、造成中のものなどは紙切れになるなどの悲劇を味わった人も多いはずです。

屈折した子どもの心理、問題行動次々に

未来を担う子どものためにもっと投資を

近年、屈折した子どもの心理や、問題行動が次々と起こり、大きな社会問題となっていますが、大人の側の対応は、ますます子どもらを締め付ける管理体制の強化をしてきただけだった、といったら言い過ぎでしょうか。子どもの成長や発達を促すには、学校や家庭、地域はどうあったならいいか、といった問題が、どの程度真剣に考慮されていたのか疑問です。
まず第一に言えることは、今日、少子高齢化対策が声高に言われていますが、未来の社会の担い手である子どもへの投資は、あまりにも不充分だと思います。必要が疑われるような道路などがどんどんできる反面、真に必要なところにかけられていないといった、かけるべき金のかけ方に問題があるとしか言いようがありません。
たとえば、子どもの場合、40人学級を30人学級にすることすら実現していませんし、乳幼児の保育施設の不足、子どもらの伸び伸びしたスポーツや遊び場などの環境確保、そのための教師や地域ボランティアなどの人材を育成し、確保していくというごく基本的なことすらできていないのが現状です。

住民参加のまちづくりプラン提案

経済性や効率面のみに片寄った地域開発やまちづくりプランを、この辺で立ち止まって考え直すときにきていると思います。物的な繁栄を追及するあまり、これまで、心の豊かさが置き忘れられてはいなかったでしょうか。
ですからこれからは、自治体などで策定する地域の中・長期計画やまちづくりプラン、総合プランなどに関心を持って、必要な提案や提言をしていく住民参加を、より以上に盛り上げていくことが、各地域では必要不可欠といえましょう。