地域で希薄な人間関係がネックに

新しい連帯コミュニティづくりが必要

都市への人口集中にともなう過密・過疎の進行や、都市化の進展によって、地域社会の連帯が失われたり、人間関係が希薄になってしまいました。その結果、地域社会の相互扶助や共同したり協力して何かを行うという行為ができなくなったり、また、その必要性をあまり意識しない人々が多くなってしまいました。
このような地域社会のあり方自体が問題ですが、また、子どもたちの意識や行動に与える影響も少なくありませんでした。かつての子どもらのように、鎮守の森に鳴り響く太鼓や神楽の音に胸躍らせて駆けつけたような四季折々の祭事、行事などをどこの地域でも復活させるのは無理でしょうし、そのような古典的なものに、今の子どもらがどの程度興味を示すのかも疑問です。

子どもの交流の芽摘む地域で大人の断絶

しかし、大人の近所同士の交際は、幼児のころから、親に従っていった先の家の子どもと友達になるいい機会でした。そういう過程を経て、やがて子ども同士の自立した遊び仲間が形成されていきました。そういうごく自然な形の交友関係が子どもたちの間に育ちにくくなったのも、コミュニティの崩壊が大きな原因と言えましょう。
ですが、今また、地域に古い形の共同体を復活させようということではなく、また、たとえそのようなことを願っても、時代は変化していますので、できよう筈はありません。そこで、まず、地域の必要性にもとずいて共同し、協力して活動を盛り上げていくような新しいコミュニティの形成が考えられなければなりません。

子どもの遊びをテーマにコミュニティづくりを

衰退してきた子どもの遊びや活動のあり方を、地域社会のなかで再考し、誰もが必要を認めている子どもの健全な成長や発達を図るための活動を展開していくことによって、新しいコミュニティづくりのテコとし、契機としていけば、一石二鳥ということができます。
今日のように、子どもを取り巻く環境や条件が大きく変化し、子どもらの自由な遊びや活動が衰退してしまったあとでは、自然に復活を望むだけでは無理と言えましょう。そのためにも、大人たちが手を差し伸べてやる必要があるのです。
子どもらのニーズに沿うようなイベントを企画したり、自主的な仲間集団のできるような環境を作るなどの条件作りを、コミュニティで行っていくことがいま緊急の地域課題だと思います。