身近に冒険遊び場を作ろう(7)

事故と対策(下)

傷害保険などに加入する

傷害保険は、個人で加入するものもありますが、遊び場にくる子どもたちみんなが傷害保険に加入しているかどうか分かりませんし、確認しようもありません。
そこで考えられるのが、近年、ほとんどの自治体や社会福祉協議会では、ボランティア保険とか市民活動保険を損害保険会社と契約しているはずです。そういう保険に加入するのがもっとも手っ取り早いと思います。
該当する市民であれば、保険料などは市町村で一括して払っていて、とくに個々の団体から徴収はしないはずです。
活動内容の一例ですが子ども会や青少年健全育成活動、ボーイスカウトガールスカウト、PTA、福祉活動団体、自治会・町内会活動、リサイクル活動団体、防災活動団体、公民館活動団体等々、かなり幅広く対象となる活動や、団体を包含しています。それだけに活動や団体の性格によっては、担当窓口が異なります。当該市町村に問い合わせて、所管する係りから保険登録の申請をするといいでしょう。ちなみに、冒険遊び場のような活動は、青少年課とかスポーツ課、社会教育課などが対応していると思います。

保障の対象となる事故の例

市民を対象とした活動の事故は、おおよそ二つくらいに絞られると思います。
①賠償責任事故。市民活動中に、指導者等の過失により、参加者または第三者の生命、身体、財物に損害を与え、当該指導者が被害者から損害賠償を求められ、法律上の賠償責任を負う事故。
②障害事故。市民活動中に発生した急激かつ偶然な外来の事故で、指導者等及び参加者が死亡し、または負傷した事故。
また、保障の内容や、保障の対象にならないものもありますから、市町村で扱う市民活動保険などは、事前に用意されたパンフレットなどをよく読んで、いざという場合に備えるようにしてください。
そして、活動中に怪我などの事故が発生した時は、速やかに電話等で届出先の市町村担当課に連絡することが必要です。

事故の起こる前に欠かせない安全点検

これは言うまでもないことですが、遊び場を楽しく運営していくためには、不注意による事故を発生させないことが大切です。そのための日常の安全点検が欠かせません。
そこで、プレーリーダーや運営委員会では、定期的に時間を決めて遊び場のチェックをする必要があります。それと合わせて、遊び場にくる子どもたちにも、おかしいと思ったり、危険を予知するような問題があると分かったら、すぐプレーリーダーに連絡してくれるようなPRを徹底していくことも必要です。

安全点検のチェックリスト

羽根木プレーパークの安全点検チェックリストは、次のようなものを上げています。
①衝突や足を絡ませそうな場所や状態
②工作物が壊れたり倒れたりしていないか
③ロープが切れそうになっていないか
④落下する可能性のあるところの地表の状態
⑤工具
⑥廃材とその置き場
⑦火のまわり
⑧水まわり
⑨食べ物
⑩その他(植物など)

事故に備えた応急手当も学んでおく

事故が起きたら応急手当が必要です。怪我のていどによっては、もちろんすぐに病院などに連れていかなければなりませんが、その場合でも、出血していれば止血するとか、傷口を消毒するなどの応急処置が必要です。そうした場合の手当や処置方法などを事前の講習会などを開いて、心得ておくのも大切です。
そんな応急処置の対象となる項目を羽根木プレーパークの例に習って上げておきますので、講習会などを持つ場合の参考にしてください。
①止血、②裂傷、③刺傷、④擦過傷、⑤噛傷、⑥骨折(上腕、肘、前腕、手首、掌指、大腿、膝、下腿、足首、足)⑦打撲、⑧捻挫、⑨脱臼、などです。

子どもを自由に遊ばせるにはバリア多い社会

公園などで禁止事項が多すぎるのも、今日の社会を反映しているからです。すなわち、、過度な管理責任追及の社会風潮に対する管理者側の防衛的な側面があるためです。
子どもを自由に遊ばせようとすれば、現状では行政に責任を負わせず、それを必要とする地域住民の側で、責任を持つ体制を作らなければできません。しかし、たとえ住民が主体でやっても、大きな事故にでもなれば代表者や管理担当者は訴えられたりする可能性はあります。
そうしたバリアを超えてやるには、ここで述べてきたような対策と、住民の連携、別の言葉でいえばコミュニティが必要です。子ども本来の好奇心や運動能力を発揮して、想像性と創造性を高めていく、そんな遊びをいかに地域社会に作りだし、助長していけるか、今日の社会の大きな課題だと思います。