手作り道具のいろいろ

人気の水鉄砲や紙鉄砲、パチンコ

全国どこの地域でもおもちゃの鉄砲類は人気があったようです。
水鉄砲を作るには、肥後守では無理で、家にある鋸などを使います。まず、水をためる筒を作ります。子供の腕くらいの太さの真竹を使って、30センチ前後の長さに切り、細くなる方の節を残してその節に錐で穴を開けるだけで、筒の方は出来あがりです。水を押し出す柄の方は、筒より細く、長さは20センチくらい長めに切った先端にボロギレなどを堅く巻きつけて出来上がりです。こうしてタライなどの水を吸い込ませ、力いっぱい押し出せば、10メートルから20メートルくらい、水が勢いよく放射されて水鉄砲の完成です。
また、水鉄砲の筒の節に穴を開けないで、押し出す柄の方の節を鉄棒などで突いて取り去り、最後の節だけ残して、その節に錐で穴を開けて、押した柄の方から水を飛ばす鉄砲もあって、いろいろと変った水鉄砲を作って競ったものです。
こうして、水鉄砲が出来あがると、タライやバケツに水を入れて撃ち合いが始まります。水鉄砲を武器にした戦争ごっこになるのです。しかし、水鉄砲合戦は、負けても勝っても双方、びしょ濡れになりますから、冬はあまりやらなかったように記憶しています。
紙鉄砲は、肥後守で十分作れます。子供の親指ほどの太さのササ竹で、水鉄砲を小さくしたようなものですが、筒の方は節の無いところで作ります。詰めた紙の弾丸が飛び出すところだからです。また、柄は水鉄砲のように布などは巻かなくていいのです。
弾丸となる紙は、古新聞などを水で濡らして丸めた弾丸を込めますが、最初の弾丸は筒の先に押し込んで、二発めから弾丸を入れて柄を押すと、パンと音がして空気で圧縮された先端の弾丸が飛び出します。
紙鉄砲遊びで、弾丸を水で濡らせないところでやる場合、口の中でグチャグチャに紙を噛み潰してやります。この口の中で唾液で潰した弾丸は粘着力があってよく飛ぶのですが、欠点は唾液がすぐにかれてしまうことと、何といっても不衛生な点でしょう。
その他、木の実や野菜の大根などを細かく砕いた弾丸の鉄砲などが、地域地域でいろいろと伝わっていました。先に書いた杉鉄砲もその一つです。

パチンコも人気遊びの一つ

パチンコ(我が地方ではゴムカンと言った)遊びも人気がありました。山に行って、子供の指くらいの太さのY字形をした丈夫な木の枝を探してきて、適当な長さに切り、Y字型を火などの熱で丸みをつけて曲げ、小石を包める程度の皮の両端をゴム紐で繋ぎ、そのゴム紐の両端をY字形の両端にしっかり固定して出来あがりです。
遊びは、木や缶などを的に、あて競争をしたり、また、季節の果物や栗などを落すような悪戯をしたり、ときにスズメなどを狙いますが、スズメはパチンコで子供に射落とされるほどのろまではありませんでした。
このパチンコの使い方は、直径一センチくらいの小石を、ゴム中央部の皮で挟んで、ゴムを大きく伸ばし、的をめがけて放すと、小石は大きくはずんで飛び出します。
それだけに、人に向けると大変危険ですが、よくしたもので、そうした事故はまったく聞きませんでした。